水色とハルジオン

それは過去の愛の破片

日経大シアター2019「福岡ラプソディ」@北九州芸術劇場 20191224

あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!

宮澤佐江が優雅な赤いロングドレスを着て松田聖子の『天使のウインク』を歌ったかと思ったら今度はこれまた海より深い青のドレスを着て川嶋あいの『明日への扉』をフルコーラスで歌っていた…

な…何を言っているのかわからねーと思うが(以下テンプレ省略)

 

 

 

2019年12月24日に北九州芸術劇場で行われた日本経済大学ホリプロのコラボレーション舞台、「福岡ラプソディ」を観ました。いや〜泣いた泣いた。

 

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物語の舞台は町民ホールの取り壊しが決定した福岡県梅野町(架空の町)。そこで成人式を迎えるはずだった地元の仲間達がなんとかして思い出いっぱいの町民ホールを存続させて令和最初の成人式を行おうと走り回る群像劇でした。

主人公母(故人)の遺したプレイリスト名が「福岡ラプソディ」。場面の転換や心情の表現として福岡出身アーティストの歌がふんだんに使用されてました。

 

20歳って微妙な歳なんですよね。周りを見渡しても大学に進んで勉強やバイトに明け暮れる人もいれば将来なりたいものが明確で専門学校に行った人、既に就職した人などなど。成人式で久々に顔を合わせて近況を話したらみんなそれぞれ進んでいるスピードがバラバラだと思い知る大人0章みたいな位置づけで。

そんなモラトリアム真っ只中の人間模様をリアル大学生が演じることで説得力増し増しになる。

学生演劇の部類ですが脚本は劇団鹿殺しの丸尾さん。出演した日本経済大学の学生も芸能コース在籍の方ばかりで実質みんなプロがお届けする良質な夢と希望の詰まった物語だから涙腺がことごとくやられてしまった。

 

 

そんでもって我らが宮澤佐江ですよ。

佐江ちゃんの役はそこそこ有名な歌手、新田桜子。

名前が出る度に大学生キャストから「えっ!桜子様が?」とか「桜子様に会えるなんて…」と桜子様呼びで崇拝されてたのジワった。

物語冒頭で地元の仲間達が向かった先が梅野町ホールで開催された桜子様のコンサート。

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上図左。舞台中央20段くらいの階段の上からこの真っ赤なロングドレスで松田聖子の『天使のウインク』を歌いながら登場した時の気持ち、分かる?

 

圧倒的美

 

サビ終わり♪約束だからぁ〜〜〜 の声の伸びがとっても溌剌で耳が幸せすぎた。推しちゃん、また歌の上手さ更新したね…

ところで松田聖子って福岡県出身だったんですね?!意外。

美しくドレスアップした姿で歌ってるのをうっとり眺めてたら桜子様が突如しんみりモードで「この梅野町の町民ホールが取り壊しになると聞きました。ここで最後に歌うことが出来て嬉しいです。」と衝撃発言。

この一言がきっかけでノリノリで見に来ていた地元の仲間達はこのホールがなくなるなんて聞いてねえ!成人式どうすんの!?とホールの存続に向けて成人式実行委員会を組んで市役所に掛け合ったり取り壊し撤回の署名を集めたりと走り回るはめになるんですが。

 

市役所の新人職員としてさっきの画像右の上田堪大さんがとってもいい味出してました。ホリプロ所属の役者さん。身体の半分が足。

現実に冷めてダウナーな雰囲気を纏っていたけど成人式実行委員会のひたむきさに触れることで熱意を取り戻していく様が良かった。

 

ホリプロからは3名が出演。佐江ちゃんと上田さんとつぶやきシローさん。つぶやきさんは成人式実行委員会が集う小さな喫茶店の店長として事の成り行きを見守ったり相変わらずあるあるネタをつぶやいたりチンピラを脅したりと客席の雰囲気を和ませてました。

 

そんな簡単に署名も集まらないし町民ホール撤回は難しいのでは?と暗雲立ち込めた時、近場の高校の文化祭に桜子様がゲストで歌いに来る一報が。

桜子様、どうやら梅野町出身だったみたいです。

成人式実行委員会のうちの1人が芸能界志望で、桜子様に町民ホール撤回署名の宣伝を頼むのと同時にどさくさに紛れて自分の履歴書も渡すのダイナミックすぎて口あんぐりしちゃった。

そしたらなんと桜子様、歌手になる前に梅野町の小さな喫茶店で主人公母(生存時)に「好きなだけ泣いたらいい、泣いてスッキリしたら親にやりたいことちゃんと言いなさい」と激励された思い出話をポロリ。

まっ、待って??喫茶店?つまりつぶやきシロー店長と主人公母は夫婦?あーーー!!!なんか物語繋がってきたな!??!口内潤ってきたわ。

 

 

夢を追う人の味方であり続けるの、比喩表現じゃなくてマジもんの太陽じゃん…

 

文化祭ステージシーンでは成人式実行委員会の群舞と共に川嶋あいの『明日への扉』をフルコーラスで披露。

青いつやつやサテンのロングドレスを着て舞台中央の階段を降りながら歌う桜子様、後光が見えた。

佐江ちゃんの歌声は高音の伸びがスパンとマイクに乗って気持ちいいんですよね、聞いてて。あと慈愛と決意に満ちた表情が良いのなんの…

歌詞がね、成人式実行委員会の心境とリンクしてもう涙ドバドバになった。

♪小さな決意を正直に今伝えよう の歌詞で桜子様を中心に成人式実行委員会のメンバーがずらっとステージに並ぶの圧巻圧巻アンド圧巻。

 

桜子様の宣伝や市役所の上田さんの頑張り、つぶやきシロー店長の脅しもあってなんとか取り壊し期日が延長、無事成人式は行われることになりましためでたしめでたし。

 

とはいかねえんだよな〜〜〜〜〜

成人式決行日は少し早めで現実ともリンクさせて12月24日。

ここで成人式実行委員会の1人、芸能界志望の子が桜子様主演舞台の役決めオーディションに誘われるんですよね。履歴書押し付けたのは間違ってなかった。行動力に拍手。

でもオーディションの日付が12月24日!あんなに頑張って町民ホールでの成人式ができるってなった矢先に夢か友情か選ばなくちゃいけないのか。

いや辛い!学生演劇ならみんなでハッピー成人式!でも許されるのにひとつ先に踏み込むの、さすがプロの脚本って感じで痺れた。

もちろん芸能界志望の子はオーディションを選ぶわけですよ。そしたら他の成人式実行委員会のみんなは白けてしまうよね…「結局夢かよ!」って。

結局その子抜きで成人式は始まるけど実行に向けて走り回ってた頃の熱意はあんまりなくて。おいおいどうなるよ…ってとこにオーディション直前の志望の子から電話がかかってくるんですよね。

そしたら成人式組もあっちはあっちで頑張ってるしこっちはこっちで盛り上がるかって雰囲気になって。もう号泣。精神的な大人への道〜〜〜〜〜〜オンオン!

20歳になったらハイ大人です!とはいかなくて。高校までの受動的な授業を終えたら次は自分の興味ある分野ややりたいことに向かって沢山ある情報の中から選ぶことをしなくちゃいけない。時には友達よりも夢を優先する事柄ももちろん出てくる。

今この瞬間成人式組のみんなは仕方ねえな…って思ったかもしれないけどその「仕方ねえな…」が大人への第1歩なんですよね。

心が1歩大人になる瞬間が舞台の上で繰り広げられてる事実に感動して涙が止まらなかった。青春群像劇はこれがたまらねえな。

 

最終的に芸能志望の子は成人式二次会には間に合ったので今度こそ本当のハッピーエンドです。お酒を混じえながら思う存分思い出話に花を咲かせたりこれからの事を話し合おうぜってところで幕が降りておしまい。

場内にはAll I Want for Christmas Is Youが流れて最高のクリスマス空間のできあがり。

 

 

 

 

いや〜〜〜最高でした。今までクリスマスイベントらしきイベントに参加したことなかったのでそうか、この多幸感こそがクリスマス…となりました。

はるばる福岡県まで行って良かった。あと宮澤佐江ちゃんに2着ものドレスを着せてくれた人、給料2億くらい貰って欲しい。