水色とハルジオン

それは過去の愛の破片

WEST SIDE STORY Season2 トークショーの回 @IHIステージ アラウンド東京 20200222

2月に1回、3月に2回観劇する予定でしたがトークショーにつられて初日の熱量の高さに感化されて軽率に2月のチケットを増やしてしまったの巻。

この日は席自体は後ろの方でしたが、列がどセンターかつ数列先に空席があったので舞台全体をはっきりと見渡せました。

 

 目次

 


f:id:kinakoice:20200318190135j:image

 

佐江アニータ備忘

♪America

佐江ちゃんのダンスの癖に“溜め”がありまして。手を挙げて下ろす振りだけとっても挙げきった後少し余韻を残してスっと下ろすんですよね。

“溜め”があることでより勢いよくダイナミックに感じる。これが宮澤佐江のダンスの魅力のうちのひとつだと思っています。

この日は“溜め”が顕著に見受けられました。

ハイハイハイ!って横移動する時の足さばきや腰のうねり。動きに弾力がある。

愛するベルナルドと並んで踊る自信、マンハッタンという地に居られるアニータの喜びをより力強く全面に押し出してきた。

宮澤佐江挑戦してきたな〜〜〜〜。表現がブラッシュアップされてくのを目撃できてヲタクはニッコリ。

 

♪A Boy Like That/I have a love

怒りがコップのふちを通り越して溢れているようにアニータの内にある激情が口からぼろぼろこぼれ落ちる。

佐江ちゃんの怒りの演技といえば声をキンと張るイメージがありましたが、この日はその真逆のかなりドスの効いた声で諭していたので驚きました。そう来たか〜〜〜!

♪l have〜、前回のめいめいマリアは剣幕がすごくてその勢いにアニータが飲み込まれたように感じましたが、今回のエママリアは自分の意志を貫き通す為にアニータに語りかけるんですよね。

今まで周りにダメだと言われたら文句を言いながらも従ってきたマリアですが、愛を誓ったトニーに関しては意地でも譲らない。それほどまで夢中になったマリアをアニータも見てきているはずから、ここまでの経緯を含めてアニータは首を縦に振ったんだなってエママリアと佐江アニータのやり取りから感じました。

最後にポツリと呟く「確かに、私もベルナルドを愛してたわ…」の言い方すごく好みだった。怒りの感情が収まったのとベルナルドがもうどこにもいない喪失感が相まって胸がぎゅっと締め付けられる。

 

アニータはマリアよりもお姉さんだけど、多分エママリアと佐江アニータはそこまで年齢離れてない。多分3歳差くらい。だからほんのちょっとだけ大人に見える。ベルナルドとアニータも付き合い始めの頃はトニーとマリアみたいに恋に急転直下してたのかな?と舞台上では描かれない過去の姿まで考えが巡る。

逆にめいめいマリアと佐江アニータは絶対歳5つ以上離れてる。初日の佐江アニータがかなり大人っぽく見えたのはめいめいマリアの少女漫画並みのキラキラ純真具合も関係してたのかなと思いました。演じる人が違うと見え方も違って楽しい。

 

 

トークショー

MC:かもめんたる 岩崎う大さん

キャスト:森崎ウィンさん(トニー役)、小野賢章さん(リフ役)、宮澤佐江(アニータ役)

 

トークテーマ:数ヶ月一緒にいて互いの印象はどう変わったか

佐江ちゃん「10年くらい前にウィン君が出てたドラマを見てこの人といつか仕事したいと思ってた」

森崎さん「ほんと?嬉しいな。3ヶ月くらい一緒にいるけど聞いたことない笑」

佐江ちゃん「だから今言ってるじゃん!!」

う大さん「喧嘩しないで笑」

佐江ちゃん「ウィン君は同い年だから強く言っちゃう笑」

森崎さん「いつも楽屋でいじられてる笑集中したい時にウェーイって」

佐江ちゃん「それはやってない」(突然の真顔)

 

90年生まれの希少さを理解しているからか同い年に対してテンション上がって当たりが強くなる宮澤可愛い。

 

う大さん「佐江ちゃんめっちゃ元気だよね」

佐江ちゃん「元々明るい人なの。元々。でも家ではわりとスン…としてる。無。無の中で過ごしてる。でも明るいのは嘘じゃないです。人が好きだから。」

 

ここめっちゃ好き…となった。宮澤佐江のイメージである元気で明るい姿と表舞台に出さない一面もあるって自覚的なのが良き…

 

トークテーマ:ここまでの公演を振り返って

 

トークテーマ:好きなシーン

 

 

 

日替わりキャスト

マリア役:宮澤エマさん

清楚なマリア。芯がしっかりしているが故に恋にどんどんのめり込んで狂う印象。

♪I feel so pretty の発音が良すぎて喉から本家。

擬似結婚式のシーンで今この瞬間100%トニーを愛し抜くって振る舞いや声音からバンバン伝わってくるの好き。

 

ベルナルド役:渡辺大輔さん

お兄ちゃん:団のリーダー=8:2

いやもうめっっっっっちゃいいお兄ちゃん!真っ白なパーティー用ドレスに身を包んだマリアを一目見た時の仰け反り方がおちゃめ。

なのにシャーク団の先頭に立ってのしのしマウントへやってくる姿がとても厳か。お兄ちゃんやってる時とのギャップがすごすぎて風邪引きそうになった。

 

リフ役:小野賢章さん

幕が開いた途端タバコ吸ってたのリフだったんだ。初日は気づかなかった。

リフからトニーへの感情って純粋な友情なんだろうね。賢章先生のリフはカッコ良さと健気の配合が良い。

決闘への参加を了承したトニーに向かって「とことん兄弟!一生兄弟!」って言うところなんか嬉しさが増し増しになってて余計に憎めないんだよな。

 

 

さいごに

本編が終わって幕が閉じた後、「Los Angeles 1992」や「Florida 2018」と、都市名+年のセット文字が目前にある横長のスクリーンに数え切れないほどバーッと映し出されます。

私はこれをウエストサイドストーリーが上演された場所と年代の事だと思って歴史ある作品だな…と勝手に感慨深くなっていたんですが、初日観た後にTwitterで「あれは少年が銃殺事件で殺された年月日と都市名である」というツイートを見かけてかなりショックを受けました。

今回はこのことを頭の片隅に置きながら観劇したので余計に救いのなさが際立って心にズシっと来るものがありました。

いがみ合いに加担してる人皆未熟で。そんな未熟な人に武器を持たせたらそりゃこんな悲惨な結末になるのも仕方ないのか?じゃあどうしたら誰も亡くならずに済んだ?って考えようにもどうにもならない。

全てを失ったマリアの「私たちみんながトニーを殺したの!」って台詞がずーーっと頭を巡っています。

みんな、みんなって誰だろう。シュランク警部やクラプキ巡査、ドク、私たち観客も含めて。

エストサイドストーリー初演から半世紀以上経った今でも人間て変わってないな、どうしようもないな…“どうしようもない”でいいのか?とっ散らかるばかり。

 

残りの観劇でもうちょっと考えをまとめたいと思っていたのですが、この日から4日後に発表された新型コロナウイルス対策として政府から発表された大規模イベントの中止・延期の要請でウエストサイドストーリーSeason2は残り期間全て中止。

結果的にこの日観たのが私にとって千秋楽となってしまいました。

 

なんだかすごく考えさせられる作品だった。

いや、「だった」じゃいけないんだろうな。これからも人間の未熟さや愚かさについて考え続けなくちゃいけないなという気持ちです。