水色とハルジオン

それは過去の愛の破片

WEST SIDE STORY Season2 初日ソワレ @IHIステージアラウンド東京 20200201

豊洲マンハッタン、ぐるぐるしてきました。

正直チケット15000円はどうよ?と思っていましたが1度観劇して納得しました。セットの作り込みが半端ない。

Tonight(Qintet)やトニーが今までの場面をぐるっと歩き回る時の視界の足りなさ。横はもちろんだけど縦にも長いステージにあれだけしっかり作り込んだものが鎮座してるとあっという間に世界観に没入できる。

 

さて、お目当てのアニータこと宮澤佐江ちゃんですが…ありえん良さみが深すぎて最高でした。

少しだけ大人の階段を上ったセクシーな振る舞いと大切な人の死を経ていろんな感情が混じり合う葛藤。

繊細な感情をここまで丁寧に演じる姿にまた1歩女優としてステップ踏んだなと感慨深かった。

以下初日佐江アニータに対しての備忘録です。

 

1幕

登場シーンのブライダルショップではドレスの胸元を広げて欲しいと頼んでくるマリアをお茶目にかわしてました。「ダーーーーメ」の伸びが気さくな姉ちゃん感溢れて頼もしい。

そこにベルナルドが来ると途端に甘くなるのがずるい。この日のベルナルドは廣瀬友祐さん。廣瀬ベルナルドに対してはメロメロが隠しきれてなくて見てて良い意味でむずむずする。割とサラッとキスするのに唇が離れた一瞬の余韻でベルナルドを見つめる瞳がとても恋しそうで。ご馳走様でした。

 

体育館のシーン(♪Dance at the Gym)ではペアダンスで自信たっぷりのアニータが拝めて鼓動が昂ぶる。ベルナルドと一緒にいるとほんと良い表情するよね。♪Mamboの弾けっぷりったら。

男性が外側、女性が内側を回ってダンスの相手を決める時もベルナルドが通り過ぎるまでの一瞬の隙を突いて熱い視線を送ってるんですよね。心に余裕がある。マリアとの対比でアニータは地に足が付いた状態で恋してるのがこういった仕草から読み取れるの楽しい。

 

そして一幕1番の見せ所♪America。故郷のプエルトリコを懐かしむロザリアに対して今いるアメリカこそが、マンハッタンこそが最高だと全身で表現するアニータが眩しくて仕方ない。

この作品のためにバレエに挑戦していた佐江ちゃん。ダンスをじっと眺めていると頭からつま先までの縦のラインは激しく情熱的に踊るのに対し両肩から指先までの横のラインはかなりなめらかでああ~~得ているなってなりました。心の中でいいね!ボタン9751386768889回押した。

インタビューでは♪Americaで息が切れて大変だという情報を耳に挟んでたけど全然そんな風には見受けられなくて流石プロ。踊り終わった後の清々しい表情が全て。

 初日は♪Americaの熱気がとてつもなく凄くて一幕でいちばん拍手が大きかったです。座席が回って次のシーンに移るまで拍手が鳴り止まなくて目頭が熱くなった。

 

1幕最後の出番となる♪Tonight(Qintet)。下手上方の洗面台で今晩のお楽しみのためにうきうきで身支度をするのが切ない。ルージュを引く手やビスチェの胸元を調整する仕草からベルナルドが喧嘩に絶対勝つと信じてるんだろうなって考えるとウッってなる。

 

2幕

♪A Boy Like That/I Have a Love、怒りを絞り出すような歌声。アニータにとってベルナルド・マリア兄妹それぞれに大切な思い出があるからマリアまで敵の方になびくのは我慢ならないんだろうな。「やめてマリアやめて」の歌い方に哀願の色がにじむ。

愛の力量で押し通すめいめいマリアの♪I Have a Loveで押しに押されて納得するのは大人だなと思いました。納得というよりかは押しくるめられたようにも見えたけど。それくらいめいめいマリアのトニーへの想いが強すぎる。力 is Power。あんな力強く「分かるでしょ」と諭されたら否が応でも認めざるを得ない。

その後の「確かに、私もベルナルドを愛していた」って俯きながらぽつりと言葉を落とすアニータが一回りも二回りも小さく見えた。もういいよここで終わろう…

 

まだもうちょっとだけ続くんじゃ…最後、Jets集うドクの店に単身で乗り込むアニータ。

り、陵辱だ~~~~~~~!!!あんまりだよこんなの~~~!!!!!

映画版ではミュージカル演出だったからまだ「おっエライ目にあっとるやんけ!ぐへへ」ぐらいの気持ちで見れたのに舞台はガチ。

まず衣服にちょっかい出してからカウンターの上に押し倒して身動きとれないようにするの、複数人の男性が1人の女性を陥れるときのマジの手法で身震いした。

佐江ちゃんの甲高い叫び声が悲痛で悲痛で。「や゛め゛て゛よ゛」って音の全部に濁点付くのがリアル。

こんなことされたらマリアの味方でいられるはずもなく。恨み辛み吐き捨てて去ってく背中が恐怖と怒りに満ちてやるせない。

 

 

 

 

佐江アニータ、ざっと初日を通して全部に力入ってたなという印象。ここから表現に緩急付いてくるのかなと思うと次の観劇がまた楽しみになってきた。

 

 

 

日替わりキャストさん

トニー:森崎ウィンさん

高架下のシーンで煽られまくってもまだ平常心を保ってたのにリフが刺された途端目の色変わるの怖すぎて泣いた(泣いてない)。

♪Something's Comingの浮かれっぷりが好きです。ベビーフェイスさんなのでマリアといちゃいちゃしてるときはすっごい幸せそうで微笑ましい。早く2人で田舎へ逃げてくれと願わずにはいられない。

 

マリア:田村芽実さん

めいめ~~~~い!!THE・少女漫画のマリア。愛に突っ走ってそのまま海に落ちてしまいそうな危うさとのバランスが絶妙。

ブライダルショップで結婚式挙げるシーン、嬉しさがだだ漏れで痛々しくて良い意味で見てられなかったんですよね。これから2人の身に起こることを想像すると高低差でグッピーが死ぬ。それくらいめいめいマリアの周りが見えてないウブな女の子の表現がすごかった。

 

リフ:小野賢章さん

賢章先生!まさかこんなところで実物をお目にかかれるとは思ってなかったです。

リフのテンションで1幕全体の空気が決まるといっても過言ではないあの流れで一言一言確実に決めていくのかっこよすぎでしょ。あと声が聞きやすい。さすが本職の方。

トニーがダンスパーティー承諾したときの「とことん兄妹、一生兄弟!」がやっと餌を与えられた子犬みたいで軽率に好きになった。

 

ベルナルド:廣瀬友祐さん

イッッッッッッッケメン。すみません脚何メートルありますか?

Sharksの長。所作から気品とイケメンが溢れ出てる。そりゃみんなうちの自慢のリーダーだぜって紹介したくなるよな。

ルーフトップでアニータと惚気けながら喧嘩するの一生続けて欲しかった。今からでもキャデラックに乗って2人で逃避行せん?でもアニータが喧嘩に送り出してくれたから運命変えられないよね…

決闘シーンでナイフ取り出した時の瞳孔ガン開きで悪い顔してたの最高でした。


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